武とは、矛を持って用いず、強さをふるわず、己や仲間たちの信じる道を守るためにある。
技を競わず、勝負にこだわらず。
一大事のときに全身全霊をかけ、争いを止めるために抗い、
相対する双方の命を助けるのが武である。
人の持つ優しいと思いやり、
命を捨てて命を守る勇気がなければならず。
命を尊び、あらゆるものを愛し、受け入れることがなければ悟ることが難しい。
そのため、より優れた気概と技術が必要となる。
武をもって道に入り、道を守ることを鍛錬の方法とし、
心を正し、道にて心を正すことを正統とする。
ゆえに、易經曰く「神武不殺」
道とは、常道と非常道にわかれる。
道を聞く縁ある者先人の教えを受け継ぎ、さらに発展させ、
伝えるべき人に伝え、後世に残す者である。
はっきりと形あるもの。
ぼんやりとして、難解なもの。
様々な状態で存在する。
自然であり、不自然でもある。
形あるもの、仁義礼智信という。
仁義を尽くしてなる、無形こそ、「道」である。
ゆえに曰く:「大道廃れて仁義あり」
形あるものを心がけ、日に優しく、日に義を重んじるようになり、
そのうちに心かけずとも自然となるのが入門である。
古くはこれを「心法」という。
すなわち、心を修める方法である。
今世にて、多くが形にとらわれ、功をあせるなか、
せめてものの助けになるかと思い、ここに記す。だれかの助けになることを切に願う。
思いだけでは届かず、行動のみでは方向を見誤る。
世の中は生きにくい。
しかし、慈しみを持ち続ける勇気、優しさと思いやりを与える強さを兼ね揃えれば、
世の中はおもしろい。
人の数だけ考え方があり、人の数だけ生き方がある。
それが個性であり、尊重されるべきものである。